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コラム 葬儀業界分析2018 2018年8月17日掲載

[3] 家族葬が人気なんてウソ!葬儀の参列者数が減少した理由とは?

葬儀業界分析の第3弾記事です。「家族葬」に関する利用者データをもとに、葬儀単価下落の原因が「家族葬」には無いことを解明。国勢調査の人口移動データからは【葬儀参列者】がなぜ【減少】しているのか、その原因を導き出します。

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【それホント?】葬儀の参加/参列人数が減った理由

なぜ葬儀の参加/参列人数が減ったのか・・・をインターネットで調べると、必ず「家族葬を選ぶ遺族が増えた」とはじめにあり、そのあとに理由として前記事でも紹介した

  • 人間関係の希薄化
  • 経済的問題
  • 家族との最後の時間を大切にする(少人数制)
  • 宗教観

このあたりの理由が列挙されている場合がほとんどです。

ほとんどのメディア記事が同じ回答なので無思考状態に陥りがちですが、本当に「家族葬」に起因して参列数が減っているのかちょっと探ってみたいと思います。

【引用:家族葬とは】

ひと昔前の葬儀というと、白木の祭壇が飾られ、荘厳な雰囲気の中多くの参列者が足を運ぶ・・・といったものを想起されるかもしれません。

ところが、昨今の葬儀業界では、

・わかりやすいプラン名
・わかりやすい葬儀項目
・安価な価格(=プランによって選べる価格帯)

上記3つを備えた「パッケージ」での葬儀のサービス提供が主流となっており、なかでも【家族葬(かぞくそう)】と呼ばれるプランが人気を博しています。

家族葬は、親族や故人の友人知人など親しい方を中心にした「少人数の葬儀」のことを言います。

プラン名に「家族」と入っているため、”家族だけで執り行う葬儀”と思われがちなのですが、あくまでも家族を中心に・・・といった意味合いになっています。

出典:『【葬儀比較】千葉市・習志野市エリアの「家族葬」プランを比べてみた!』/雅セレモニー

では、その「家族葬」がどのくらい人気がある(=利用されているプランなのか)かを見てみましょう。

出典:『葬儀スタイル(規模)の割合』/エンディングデータバンク(2018年2月6日)

上記は、葬儀社のアーバンフューネス社が提供している情報メディア「エンディングデータバンク」に掲載されていた数値です。

約60%近くが家族葬の利用。そして、20.6%が火葬式となっており、合計80%近くが参列人数の少ないプランが利用される傾向にあるようです。

さて、このアーバンフューネス社ですが、

・東京
・神奈川
・埼玉
・千葉

上記1都3県を中心に葬儀業を営んでいます。
いわゆる「関東圏」がメインというわけです。>

では、もう一つデータを見てみましょう。

出典:『葬儀の取引に関する実態調査報告書「葬儀の種類別の年間売上高」』/公正取引委員会(平成29年3月22日)

公正取引委員会発表の報告書です。

平成29(2017)年3月発表なので、データとしては発表日から過去1年間…といった感じでしょうか。

アーバンフューネス社のデータと年度が1年ほど異なってしまっていますが、全国平均の値では家族葬は【19.2%】となっています。そして、一般葬が【76.2%】と圧倒的多数。

つまるところ、家族葬は「関東圏」で多く選ばれている・・・ということができそうです。

逆にいうと、関東圏以外では家族葬はそれほど選ばれていないとも言うことができます。


家族葬だから参列者が少ないのではない?!

出典:『葬儀の取引に関する実態調査報告書』/公正取引委員会(平成29年3月22日)

上図は、前記事でもご紹介した公正取引委員会のデータです。

1件あたりの参列者数の傾向は回答者の【86.8%】が「減少している」と回答しています。

前項の情報とこれを見る限り、「家族葬」であろうと「それ以外の葬儀プラン」であろうと、参列者数は減っているということができそうです。

巷では、葬儀に関するこれからの予測として

・参列者は減少
・葬儀プランは家族葬が選ばれるように

といったまとめ記事をよく見かけますが、葬儀プランが家族葬に向かっているのは(現状手に取れるデータ上では)関東圏だけですからね。

嘘を言っちゃいけません(笑)

コミュニティへの帰属度と葬儀の参列者数の関係

関東圏では、なぜ「家族葬」が人気なのでしょうか?

あくまでも私見ですが、【コミュニティへの帰属度】が重要なポイントとしてあるのではないかと考えています。

出典:『平成27年国勢調査移動人口の男女・年齢等集計 「表Ⅱ-2-1 居住期間別人口-都道府県(平成 27 年)」』/ 総務省統計局(平成29年1月27日)

ここに1つのデータがあります。

何かというと、総務省統計局が発表している国勢調査結果のうち「都道府県の居住者数」と「1つの県に出生時から居住している人の率」です。

「1つの県に出生時から居住している」かどうかで、居住地域における密着度(=帰属度)が測れるのではないか?という視点で数値を整理してみました。

このデータは、数値が低ければ低いほど「密着度/帰属度」の低さを表しているのですが、上から見てみると

・福岡
・沖縄
・北海道
・東京
・神奈川

~~
・千葉
・埼玉

といった順番になっていることがわかります。

お気づきの方も多いと思うのですが、アーバンフューネス社の対応地域・・・つまりは、家族葬を選択する御遺族が多い「東京・神奈川・千葉・埼玉」が上位に来ていることがわかります。

コミュニティとのつながりが希薄だから、ことさら故人のことを関係性の薄い人に伝える(参列してもらう)必要は無い・・・そして、葬儀の参列は身内で・・・といった流れが起きているのかもしれません。

なお、「福岡」「沖縄」「北海道」に関しては家族葬を選ぶ御遺族が多いかどうかはデータ不足で未確認の状態です。

もし、これらの県も当てはまると、この仮説はドンピシャ・・・ということになるのですが。

ちなみに、密着度が高い都道府県もせっかくなのでご紹介しておきたいと思います。

出生時から同一県に居住している率が高かった都道府県1位は「山形県」。続いて

・福井県
・秋田県
・新潟県

の順になっていました。
パッと見ですが、東北が多いような印象を受けます。

今回の調査でいうと「密着度が高い=葬儀の参列者が多い可能性が高い」という見方になるので、参列者数の獲得を葬儀事業所を新規展開する際のKPIにしている場合には、1つの判断基準になるかもしれませんね。

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