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コラム 葬儀業界分析 2019年3月7日掲載

年間苦情3,000件超…互助会に何が起きているのか?!<冠婚葬祭互助会のイマ(3)>

多死社会を迎える日本で、5人に1人(約20%)が加入している「互助会」。
しかし、経済産業省の発表によると苦情件数は3,000件にものぼるのだとか。本稿では、互助会の中途解約手数料に関する問題をレポート。また、互助会以外の葬儀割引の道を探ります。

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みなさんこんにちは。

雅セレモニーの分析記事担当&メディア副編集長の有馬です。

今回は、互助会系分析記事の3回目(最終話)です。

1話目では、冠婚葬祭互助会のなんたるかをご紹介しつつ、割賦販売法並びに経済産業省の許認可に基づく「供託金」制度や互助会が外部の供託受託会社にあずけている供託金の額などを見てきました。

続く2話目では、互助会上位企業の売上高&葬祭系の売上比率をみつつ、一部事業者の「終活産業」への多角化傾向・・・そして、互助会が提供する葬儀プランの内訳・・・つまるところ、何が含まれて何が含まれないのか、という情報を独自調査した比較表をもとに検証しました。

そして、最終話の本稿では、互助会の積立金の「中途解約手数料」に関する問題と現状をご紹介しつつ、互助会とは別に葬儀会社各社が提供する「割引サービス」の調査結果をお伝えできればと考えています。

相変わらず、表形式にした数字情報が盛りだくさんですが、最後までお付き合いいただければ幸いです。


5人に1人が契約する互助会…年間3,000件超の絶えない苦情

互助会のプランは、「前払い」「積立」という性質上、契約した冠婚葬祭の役務(サービス)が発生しない限り”預けっぱなし”ということになります。

中には、『やっぱり必要が無くなった』『他社と契約をしたい』…ということで、途中で互助会を解約される方も出てくる場合があります。

冠婚葬祭互助会にかかるPIO-NETの苦情・相談の状況
<過去10年の苦情・相談の推移>

主な相談内容(平成27年度)
相談内容 件数
1 解約(全般) 2,202
2 解約料 1,376
3 契約書・書⾯(全般) 869
4 返⾦ 814
5 説明不⾜ 678
6 家庭訪販 634
7 連絡不能 558
8 ⾼価格・料⾦ 542
9 信⽤性 428
10 契約変更 335
出典:『前払式特定取引に係る現状と課題』経済産業省 商務流通保安グループ商取引監督課(平成29年2月)

実は、これが結構”揉める”原因になっていたりしまして、経済産業省の商務流通保安グループ 商取引監督課が平成29年2月(2017年2月)発表した資料『前払式特定取引に係る現状と課題』によると、過去10年間で冠婚葬祭互助会に係る相談は増加傾向で、なかでも解約に関する相談内容が上位となっているとのことでした。

なぜ、ここまで苦情・相談が増加傾向にあるでしょうか?

もちろん互助会の契約件数が日本全国で約2,400万件(日本の人口比で約20%…5人に1人が契約している計算に)と母数が大きい点も理由の1つですが、解約手数料の額に起因していることは間違いありません。

結局どうなった?!互助会の中途解約手数料問題

解約返戻に関する金額は、「割賦販売審議会 消費者保護部会 約款問題分科会」というものが通産省(現在の経済産業省)のもとで昭和58年に開かれていた記録が残っており

(3)第4回にて、通産省より解約手数料についての計算式(案)が提示される

ⅰ(外務員給与総額+募集代理店費用+広告宣伝費+販促費+募集に係る交通費+燃料費+印紙税+契約書、会員証作成費+契約時コンピュータ費用+契約に係る通信費)÷新規契約件数=X(契約締結費用)

(6)この考え方に基づいてS59年1月18日、全互協では標準約款の改訂を行い、契約金額12万円の場合、1件あたりの募集手数料11,200円、1回あたりの集金手数料1回入金額の10%(上限250円)となる。同年2月より実施。

出典:『冠婚葬祭互助会について/一般財団法人 全日本冠婚葬祭互助会(2013年7月5日)』経済産業省ウェブサイト

このときの取り決めがスタートラインになっているようですね。

現在では、もう少し解約手数料は下げられているようですが、それでも苦情は年間3,000件を超えるレベルというわけです。

このような、解約返戻金算出のベースとなる現経済産業省の案があった一方で、2015年1月には「解約によって会社側が受ける損害は月々の掛金を振り替える際などに負担した僅かな費用だけで、それを超える額の手数料は違法だ」ということで、最高裁で手数料問題の係争が決着を見ています。

互助会解約の手数料は無効 判決が確定

葬儀や結婚式の費用を積み立てる互助会方式の契約を途中で解約したときに、多額の手数料が必要になるのはおかしいと京都の消費者団体が訴えた裁判で、手数料の支払いを定めた冠婚葬祭会社の契約条項のほとんどを無効とした判決が最高裁判所で確定しました。

この裁判は、京都の大手冠婚葬祭会社と葬儀や結婚式の費用などを月々積み立てる互助会方式の契約を結んでいた利用者が、途中で解約したときに、それまで積み立てた額の9%から60%近くを手数料として求められたことについて、消費者団体などが不当だと訴えていたものです。

2審の大阪高等裁判所は、おととし、「解約によって会社側が受ける損害は月々の掛金を振り替える際などに負担した僅かな費用だけで、それを超える額の手数料は違法だ」として手数料を定めた契約条項のほとんどを無効とする判決を言い渡しました。

この裁判で最高裁判所第3小法廷の山崎敏充裁判長は22日までに上告を退ける決定をし、2審の判決が確定しました。

訴えを起こした「京都消費者契約ネットワーク」の代理人の志部淳之弁護士は、「全国には同じような解約手数料を定めた契約が、およそ2000万件あるとも言われていて、この判決が確定した影響は大きい」とコメントしています。

出典:NHK News Web/2015年1月22日 (魚拓サービス) 出典:『速報 互助会敗訴確定!解約ラッシュが来る?考える葬儀屋さん

NHK News Webには、この情報は既に削除されてしまっていたので、よく参考にしている『考える葬儀屋さん』から記事中の情報を引用させていただきました。

と、まぁ・・・最高裁で判決は出ているのですが、いまだ確定的な取り決めは無く、依然として互助会積立の解約手数料問題の火種はくすぶっているように思います。

なお、経済産業省の商務流通保安グループ 商取引監督課が平成29年2月に発表した資料『前払式特定取引に係る現状と課題』には、割賦販売法における前払式特定取引に該当する互助会の、手数料問題の経緯・現状などが報告されているので、ご興味を持たれた方は参考にされるとよいかもしれません。

互助会以外の葬儀系割引サービスにはどんなものがある?

積立を必要とする互助会とは異なり、会費を支払うことで将来の葬儀の割引を約束する会員制サービスも存在します。

会員サービスは、個人情報の登録だけでOKな無料系サービスと、会費を支払うことで優遇が適用になる有料系サービスの2つに区分されます、有料系は掛け捨てのため、互助会のように「預けていたお金」に関する問題は発生しません。

企業名 会員サービス名 費用 会員数 割引情報
ユニクエスト
(「さがみ典礼」の
アルファクラブ
グループ傘下)
小さなお葬式
「早割」
無料 10万件 ・申込日から起算して、30日・1年・2年ごとに段階優遇
・最大66,000円割引
雅セレモニー 雅倶楽部 無料 1万件 ・葬儀プラン等を最大20%割引
・申込み当日から有効
よりそう
(旧みんれび)
よりそうのお葬式
(旧シンプルなお葬式)
「事前割」
500円
(申込金)
・最大5万円
・申込完了日から30日後に有効
アーバンフューネス アーバンクラブ 1万円
(登録料)
・更新料なし
公益社 プレビオクラブ 1万円
(入会金)
・10%割引
出典:早割/小さなお葬式
出典:雅倶楽部/雅セレモニー
出典:事前割/よりそうのお葬式
出典:アーバンクラブ/アーバンフューネス
出典:プレビオクラブ/公益社

2018年12月29日時点の公開情報をもとに、会員サービスをざっと並べて見ましたが、葬儀仲介業者(ブローカー)の「小さなお葬式」が10万件とのことで、(数字を開示していることによる)自信を見せつけられた格好です。

これらサービスは、有料でも一回限りの掛け捨てだったり、また1ヶ月前に加入すれば割引が得られる場合が殆どなのが気楽でよいですね。

ちなみに、弊社が提供している会員サービス「雅倶楽部」は1万人…と規模的には小さなお葬式の1/10ではありますが、千葉の

  • 幕張本郷
  • 検見川
  • 習志野

の3ホール展開と考えるとなかなかの会員数といえるかもしれません。

葬儀市場の成熟化がもたらすもの

内閣府発表の「平成29年版高齢社会白書(全体版)」によると平成32年(2020年)の死亡者数推計は141万人。

出典 : 「平成29年版高齢社会白書(全体版)」内閣府

平成57年(2045年)には死亡者推計165.2万人とピークを迎えるとのことで、今後30年近くは「高齢化」「多死社会」になることがほぼ確定しています。

そして、それを待たずして、2006年以降死者数が急激な増加傾向にあったこともあり、葬儀市場の競争は激化・・・かつての「どんぶり勘定葬儀(社)」は淘汰されつつあります。

なかでも、どんぶり勘定の最たるものだった「葬儀価格」や、おまかせされすぎることでいまいち中身が見えてこなかった「提供サービス」は、インターネットなどの衆人環視の目にさらされていることもあり、ある程度の価格帯と品質におさまり、葬儀各社は横並びの状態になりつつあると言えます。

互助会の社会的役割と存在意義

(1)戦後の経済的困難の中、人生の重要な儀礼である結婚式、葬儀を多くの庶民が執り行えるようにすることで、その儀式を通して人と人とのつながりの大切さを再認識し、日本人の人間らしい心を取り戻す、という社会的使命を持って互助会は誕生した。

(2)特に葬儀は、社会的に必要なもの(役務)であるが、エリアごとの慣習等も異なることからそれぞれの市場規模も小さいため不採算性が高く、公的サービスとして対応、もしくは公的支援を受けて地域コミュニティでの対応において継続的に実現しうるサービスだった。

(3)互助会は、この社会的課題を解決するため、基本骨子を①事業化②標準化③専門化の三点に絞って合理的システムを導入し、経済的に採算がとれる形で運営し、将来の役務提供のための投資のために適正な利潤を上げ、時代時代のニーズに応えて結婚式場や葬儀会館を早期に建設して持続可能な社会のシステムとなった。

(4)冠婚葬祭には従来多額の費用が掛かったため、会員を集めて一定の掛金を払ってもらい、各会員が必要時にサービスを利用するという方法が、互助会の「一人が万人のために、万人が一人のために」の相互扶助精神とともに多くの消費者の賛同と信頼を得、戦後の生活改善運動と一体となって事業が推進された。

出典:『冠婚葬祭互助会について』一般社団法人 全日本冠婚葬祭互助協会(2013年7月5日)

あくまでも私見ではありますが、上記のような「社会的役割」のもと創られた互助会は、一般的な葬儀会社がもまれてきた市場競争の波にはさらされてこなかった(または、さらされづらかった)存在であったと考えています。

もちろん、

  • 戦後における「冠婚葬祭」を執り行う難しさ
  • 広く役務提供するための一括運営システムの構築(=スケールメリット)
  • 多くの加盟者積立にもとづく費用の平準化(低減化)

など、葬儀業界の成長、そして、ユーザーの要望に応えてきたことは間違いありません。

しかしながら、葬儀に求めるものは個々人によって大きく異なる多様化の時代になりつつあります。

言うなれば、「目に見えるもの」はコモディティ化を迎え、あたりまえのものとなり、「目に見えにくいもの」をいかに充足するか・・・つまりは、葬儀社が提供できるようになるか、という点が重視されてきています。

画一的なものを広く一般に届ける…という互助会というパッケージは、一定の成果を葬儀業界にもたらしたものの、時代とともにかわりゆくユーザーの嗜好、求めるものとはズレが生じてきているのかもしれません。

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