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コラム 堀江宏樹の「世界のお葬式」 presented by 雅倶楽部 2021年11月1日掲載

【フランスの葬儀】死後48時間以内に埋葬しなければならない本当の理由

フランスは故人の死後、48時間以内に公共墓地に遺体を埋葬せねばならないという非常に厳格なルールがあるのはご存知ですか?フランスのお葬式に関するあれこれについて迫ります。

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フランスには、世界最大規模の葬儀社があるとご存知でしたか?

「OGF(旧Pompes Funèbres Générales)」は、フランス国内における葬儀会社の代名詞のような存在で、イギリスの葬儀会社をも買収する勢いで成長を続けています。

カトリックが人口の約6割、残り4割がプロテスタントやイスラム教徒、ユダヤ教徒という人口構成のフランスの多用なお葬式のニーズにもポンプ・フュネーブルは答えてくれるそうですよ。

フランスのお通夜「veillée(ヴェイエ)」が意味するもの

現代のフランスの葬儀は予算に応じて6段階に分けられます。

お棺の材質も予算次第で、最上位が黒檀やマホガニー製で、次いで松材、いちばんお手頃価格なのがオーク材でした。故人の自宅を会場とするケースもいまだ多い一方、葬儀会社のホールで日本の“お通夜”に相当する“veillée (※ヴェイエと発音)”が行われることも増えました。

興味深いことに、この“veillée”の単語は通常の意味では懇親会とか懇談会、家庭の団らんなどを意味するフランス語だということです。

フランスのお通夜でもお棺は棺台の上に安置され、周囲には黒いカーテンが張り巡らされる中、燭台の灯が照らされる一夜となります。

しかし、参加者たちにはワインと料理が振る舞われ、一種の宴のような時間が過ごされるのです。それゆえ、フランス語のお通夜は、辞書で調べれば懇親会という意味の単語が使われているのかもしれませんね。

その後、お棺は自動車に乗せられ、教会か墓地の霊安室、あるいは葬儀会社のホールに運ばれ、聖職者立ち会いのもと、葬儀が営まれるというのが一般的な現代フランスのカトリック教徒のお葬式です。

かつてはお棺が、近親者や関係者によって担がれ、教会などの葬儀会場に運ばれていく様がしばしば見られましたが、現在では珍しくなりました。

また、以前では多くの人が自宅で亡くなったので、ある方がいよいよ臨終の時を迎えるとなると、家族が近隣の教会から聖職者を呼んで来て、祈りを唱えてもらいながら、家族とともに最期を看取りました。

その後はすべて、通夜も葬儀も教会側に任せるというケースが20世紀初頭までの通例だったのですが、1904年以降、教会が葬儀を独占する権利を失い、地方自治体の監督下にある私立の葬儀社も葬儀市場に参入できることになったのでした。病院で亡くなるケースも増え、その場合、葬儀社の担当社との打ち合わせは病院で行います。このあたりは日本と似ていますね。

リミットは死後48時間

しかし、フランスには故人の死後、48時間以内に公共墓地に遺体は埋葬せねばならないという非常に厳格なルールがあります。日本のように火葬までの時間稼ぎにせよ、遺体の損壊を防ぐ“エンバーミング”もあまり普及していないからでしょう。

それでも以前、伝染病による大量の死者を土葬していたことによって、病気のさらなる拡大を許してしまったという歴史への反省でしょうか、死後48時間を過ぎても埋葬出来ないケースでは、なんとお棺の内側に密閉用金属板を取り付け、警察官によってそのお棺が封印されるという厳重な“衛生対策”が取られているのです。

フランスのカトリック教徒は現在でも土葬が基本で、火葬を忌避する傾向が強いとされます。パリは火葬希望者が高いことで知られますが、それでも33%ほどに留まっています。

ちなみにフランス全土で平均25%程度。地方では平均8%程度が火葬を希望。カトリック教会が火葬を正式に認めたのは1963年の第2バチカン公会議でのことでした。

ペール・ラシェーズ墓地の入り口

Peter Poradisch, CC BY-SA 3.0 , ウィキメディア・コモンズ経由で

パリの火葬希望者には、ペール・ラシェーズ墓地の火葬場が用いられるのが普通です。その他のパリの公共墓地はすべて土葬用であり、火葬用の墓地ではないという棲み分けが出来ているのです。

墓地は5年間の賃貸契約?!

なお、土葬に先駆けて必要なのが地中深くまで掘り下げ、大きな穴を開けることです。

墓掘り人も、葬儀会社が手配してくれるのが現在では普通ですが、数十年ほど前までは、故人の近所の人たちが穴を掘ってくれるのが通例だったとか。特に地方では葬儀はそういった助け合いの機会でした。

しかし苦労して穴を掘ったところで、墓地は基本的にすべて公営で、通常5年契約の賃貸方式なのです。お金さえ払っておけば、日本でいう永代供養も可能とする一方、最長でも35年で契約ぎれになるところを延長を重ねる形態ですし、遺族が「もうこのあたりでお墓は良い」という判断をすれば、土地の中から遺骨が拾い出され、納骨堂などに収めることになっています。

埋葬5年たっても遺族と連絡が取れない、もしくは期限を更新しないとの判断が下されるのが全体の65%にものぼりますが、遺骨は合葬という形で墓地からは撤去されてしまいます。つまり、その人のお墓と分かる形でのお墓は最短5年でこの世から消え去るのがフランスの65%もの人々の考える、お弔いの形ということです。日本人からすると、少々クールでドライに思えるかもしれません。

火葬を行った場合も、日本とはかなり異なる道筋を辿ります。故人の遺体は、日本の火葬場のように遺骨が残るようなレベルではなく、灰になるまで徹底的に荼毘に付され、その後、ペール・ラシェーズ墓地のような遺灰も収められるタイプの墓地に埋葬されるか、故人の好んだ場所に撒かれることが一般的でした。

往年のフランスの名優ジャン・ギャバンは生粋のパリっ子でしたが、ペール・ラシェーズ墓地で火葬された後、遺灰をブルターニュの海に撒いてもらったことで有名です。死後は愛する場所や自然と一体化という考え方も、ある意味ではロマンティックかもしれませんね。

ちなみにペール・ラシェーズ墓地には様々なフランスの有名人に並んで、イギリスからフランスに移住して亡くなった作家オスカー・ワイルドの墓もあります。観光名所化しており、驚いたことに彼の灰白色の墓石側面には多くのキスマークが……。著名人の墓碑銘はどう扱われているかで、現代文化において、その人の本当の地位がハッキリとしてくる様は興味深いの一言です。

歴史エッセイスト・作家 堀江 宏樹

オスカー・ワイルドの墓のキスマーク…あまりにキスされすぎて墓石が傷んできたという理由で、現在は透明のガラスケースで保護され、墓石には近づけないようになってしまった。しかし、今度はガラスケースにもキスマークがつけられ、口紅で書かれたメッセージが多数見られている。

ひと味違うパリを味わいたければ、ペール・ラシェーズ墓地に足を運んで見るとよいかもしれません。

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